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金融広告を読め どれが当たりで、どれがハズレか [金融]

金融広告を読め どれが当たりで、どれがハズレか 著)吉本 佳生

今日から、GWのムード満点である。

で、GWが明けて、しばらくすると、ボーナス狙いの金融広告を
あちらこちらで見かけるようになる。

定期預金だ、ファンドだ、外貨だ、とさまざまなタイプがあり、
魅力的であることをうたっている。

パッと見、どれも同じように見える。

適当に窓口へ向かうと、
まくし立てられて、メリット・デメリットをハッキリ理解しないまま
契約を結んでしまうこともあるかもしれない。


そこで、この本である。

新書版だが、実に内容が濃い。
500ページ程あり、ボリュームも満点である。

預金、債権、ファンドをはじめ、これらのバリエーション商品について、
架空の金融広告(架空だが、いかにもありがちな)を例として、
じっくり明されている。

商品の構成解説にとどまらず、
「売り手側の思惑」や「買い手側の心理」
についても書かれており、
そのカラクリが明らかにされている。

発刊は、2005年であり、少々時間はたっているのだが、
カラクリは変わらない。

自分の理解できない金融商品は購入(契約)しない
ことが原則だと、私は考えている。

だから、この本を読んで、金融商品への基礎的理解力を
深めてはいかがでしょうか。

<今日の抜粋>
広告をみせることで、それぞれの客がどう読解するかをテストしている


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マネーロンダリング入門 [金融]

タックスヘイブン=租税回避地 
           金融資産の譲渡益や利子・配当所得が非課税
           相続税・贈与税がない
           国外で得た所得に対して所得税・法人税が課されない
           富裕層や企業・投資機関に便宜を提供
           モナコ・リヒテンシュタイン(ヨーロッパ)
           ケイマン諸島(カリブ海の島々)
           バヌアツ(南太平洋の島々)
                ※ケイマンでは、脱税は違法ではない

オフショア=国内金融機関(オンショア)から隔離され、税制などの優遇措置を
       与えられた国際錦秋市場の総称
       狭義にはタックスヘイブンを指す

国際金融センター=金融ビジネスの集積地

サイナー=サイン登録者

クレスベール証券は、粉飾決算や損失隠しの為の特殊な金融商品を販売

BG(バンクギャランティ)=銀行保証(欧米の大手銀行)

プライベートアイ=私立探偵

シェルバンク=ペーパーバンク

クレディスイス銀行は、日本でのトラブルが相次ぐ

プライベートバンク=個人所有の銀行 ≠個人のための銀行
  1)各自の運用部門が一任勘定で顧客の資産を運用できる
  2)株式・債券・金などの商品を世界の主要市場で取り扱える
  3)法人や信託・財団など、さまざまな投資主体で資産運用できる
  4)海外移住や市民権獲得など、国際的なタックスプランニングを行える

  ※日本のプライベートババンクサービスとは別のビジネス

スイス系の金融機関の歴史背景
  ▼スイスは、宗教改革で迫害された新教徒の亡命地
  ▼ナチスから逃れたユダヤ人富裕層の資産を守るために秘匿性の高い
   匿名口座を生み出す
  ▼スイス銀行法で、秘密漏洩は刑事罰である
  
スイスの金融機関は、顧客の求めに応じて名義人の無い番号口座(ナンバーアカウント)を開設する

スイスの脱税には、消極的脱税(無申告や申告漏れ)と積極的脱税(書類偽造等)がある。
スイス系金融機関には、「租税回避は犯罪ではない」という理論がある。

スイスがEUに加盟しないのは、租税情報を他国と交換する必要が生じ、
金融立国としての基盤が崩壊するから。

最近は、口座に対する源泉課税の代理徴収を行わざるを得なくなった。
但し、EU居住者の口座のみ。
スイスのプライベートバンクは、生き残りをかけて、EU圏外へ進出している。

スイス系銀行(UBS・クレディスイス等)は新規顧客のためインターミディアリー(仲介者)制度を用意していた(一種のアフェリエイトプログラム)

口座は、仲介者がいなければ開設できず、100万ドル以上必要。
審査が通れば、全世界の支店が利用可能。
日本人だと、ジャパンデスクのあるチューリッヒ・ジュネーブ・香港のいづれかを
利用する。

割引債(割引金融債)=無記名で売買できる利払いのない債権

日本の割引債の特色である「税金は先払い」という点、「利子が無い」点から
金額に関わらず匿名で売買できるようになった。
※但し、政治家が絡む大口取引については、銀行で購入者を記録

この債権を記録を残さず海外の銀行口座に移せば、マネーロンダリングが成功する。

国内送金手続きが、実は「海外」送金となる場合がある。

本人確認とは、名前だけでなく、連絡先も確認する(金融庁の見解)
疑わしい取引の届出は、各金融機関の判断に委ねられている。

プライベートバンクの顧客は、その秘匿性を求め、監督機関へ、どこまで情報開示されるかウオッチしている。
プライベートバンクにとっては、富裕層の評価が重要である。

チャンスリー債=イギリスの弁護士事務所に訴訟費用を融資して利益を得る金融商品

MSCB(下方修正条項付転換社債)=株価に連動して、転換社債額が修正される為、引受け側は、ほぼ確実に利益を得られる。
(通常の方法では、資金調達できなくなった企業が手を出す「禁断の果実」)

<ライブドアのトリック>
ライブドアが実質運営するファンドに現金で、相手企業株式を取得させ、その株式を相場よりはるかに高い評価でライブドアの新株と交換することにより、”合法的に”大量の新株を発行できる。 
その後、ライブドアは、株式分割を行い市場に人為的な品薄状態を作り上げ、高値で自社株を売り抜ける。
この売却益をファンドからの分配金として、損益計算書に計上し、実態以上の絵利益を演出。
(これは、ライブドアの株価が上がることが前提となっている)
※株価が下落した時、決算対応として、堀江に自社株を一旦買い戻させ、利益を捻出する荒業を行っている。

検察としては、ライブドア事件で、巨額の脱税や、マネーロンダリングなど”絵になる”ストーリーを期待していたが、仕掛けが不発に終わった為、村上ファンドへ目標を移した。

「富裕層だけの特別な金融商品」は、存在しない。
  ⇒もし存在すれば、もっとパイの大きい機関投資家が損をするはずがない。

では、プライベートバンクの存在価値とは、
   1)機関投資家並の金融商品にアクセスする機会を提供する。
   2)法人や信託、投資組合などさまざまな投資主体を提供する。

プライベートバンクを利用した取引は、日本国内においても合法

プライベートバンクは、個人だけでなく、法人・機関投資家へもサービス提供している。

マネーは、「市場」を自由に行き来するが、それを管理する「国家」が、地理的な枠組みでしかないという矛盾をプライベートバンクは利用し、擬似的なタックスヘブンを作り出す。

<外貨預金の仕組>
J銀行(日本の銀行)で、10000ドル外貨預金を始めた場合、顧客の口座から120万円(1ドル=120円)を引き落とし、通貨市場で、10000ドルに交換し、A銀行(アメリカの銀行)のJ銀行名義の口座へ入金する。
理由:日本の銀行は、ドルの預金受け入れが出来ない、またドル現金を運ぶ訳にもいかない。
この場合のJ銀行は、コルレス銀行、A銀行のJ名義口座は、コルレス口座と呼ばれる。 (コルレス=コレスポンデント=中継地)

<海外送金の仕組>
例:J銀行から、H銀行へ1000ドル送金する場合
J銀行は、顧客の送金依頼を、SWIFT(銀行間国際通信ネットワーク)を使って、A銀行(コルレス銀行)とH銀行(送金先)へ伝える。 これにより、A銀行は、「フェドワイヤー(米国FRBが運営する決済システム)」を通じて、J銀行口座から引き落とした1000ドルをH銀行へ振替える。 次いで、H銀行は、1000ドルを口座に入金する。 (実際は、小額決済は相殺)
つまり、ドルは最初からアメリカにあり、どこにも動いていない。

金融の国際化=金融データの高速処理≠資金の越境

コルレス口座は、口座名義人である銀行の所在地の法律が適用される。
つまり、物理的には国内に存在しながら、法的には海外にあるという二面性を持っている。

シェルカンパニー=ペーパーカンパニー

<SWIFT>
加盟する金融機関は、13ケタの英数コードが割り振られる
自らの役割を「郵便配達人」にたとえ、関係する金融機関以外には解読できないよう暗号化し、正確・確実に取引情報を送付するのが仕事。

但し、テロ資金解明の為、アメリカの捜査当局へ送金情報を開示している。

フリーメーソン=理神論と啓蒙主義を奉ずる団体。

ダイヤは、かさばらず、世界中どこでも換金できる為、テロ資金の送金手段として用いられる(ブラッド・ダイヤモンド)

本来、マネーロンダリングとは「犯罪で得た収益」を不正に隠匿する行為を指すが、”大衆化”に伴い定義があいまいになってきている。

現金を運ぶなら飛行機が良い(爆破物は火器のチェックで手一杯な為)
スイスには、現金・有価証券の持ち込み制限がない。

現金等の持ち込み・持ち出しは、申告の義務がある。
日本は、外為法により、大人子供に関わらす一人100万円が上限。

地下銀行=私設送金業者
       送金手数料が格安で、主に外国人労働者が利用する

私的通貨スワップ=企業グループ内の資金移動を伴わないネッティング(会計上の相殺処理)の個人版

オフショアに法人を持ち、関連企業内で資金を動かせば、「複雑な金融取引」・「高度なマネーロンダリング」と称される。
    ※実際は、複雑でも高度でもなく、インターネットでアメリカ・香港・BVI
     (カリブ)での法人登記が可能で、日本で法人口座を開設することも可能
     50万円程度で日本を含め4ヶ国に法人と銀行口座が持てる。
”法人を使った節税”とは、個人と法人の二つの人格を使い分ける事。

外国人投資家≒日本人が海外に設立したペーパーカンパニー

日本では、海外子会社を所有している場合は、海外所得も日本で発生したとみなされる。 これを回避するには、本社をオフショアへ移すこと。

企業の国際化により、法人税の奪い合いが起こっている。 企業は、税負担を最小限にするため最適な納税地を選択する。
オフショアを利用した租税回避は、資金が犯罪収益であれば「マネーロンダリング」となる。

自社の技術を法外な資産価値で評価することは、頻繁に行われている。

イーゴールド(e-gold.com)=現代に金本位制を復活させた私設の兌換電子通貨で、
                 価値は、金によって担保されている。

これといった産業がない小国は、タックスヘイブンを国家事業として行っている。

税金を払いたくなければ、日本国籍を放棄すればよい。
(日本では、他国で市民権を取得した時点で、自動的に日本国籍が消滅する)

旅行ついでに、香港の銀行に口座を開設できる。

理想や正義を声高に語る人の後をついていくとロクな事がない。














     



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